
マンションの最上階にある部屋を売りたいときには他の部屋を売るのとは少し違いがあることは念頭に置いておいた方が良いでしょう。
売る上ではメリットもデメリットもあるので、メリットを最大化しつつデメリットをカバーできるように努めるのが大切です。どんな考え方を持っていたら良いのかを具体的に理解しておきましょう。
最上階の部屋は資産価値が高い
一般的にはマンションの最上階の売買相場は高めになっていて、資産価値も高い傾向があります。これは住む上で魅力が多いと考えられているからです。最上階はそのマンションの中でも最も眺望が良く、風通しも良くて日差しも良く入るというメリットがあります。
また、上の階には誰も住んでいないので足音などの生活音に悩まされるリスクが低いのも魅力です。防犯性という観点からもベランダから侵入されるリスクが最も低いだけでなく、玄関からの侵入のリスクも低くなっています。
これは侵入して万が一見つかってしまったときに、最上階からは最も逃げるのに時間がかかってしまうからです。一方、このような付加価値があることからそもそも設計の時点で最上階の部屋に付加価値を付けていることもあります。
他の階に比べて広い部屋にしてあったり、住宅設備としてワンランク上のものを導入していたりすることも珍しくありません。その付加価値によってさらに価格が上がっていることもよくあります。このような影響で、最上階の部屋は他の階の部屋よりも相場が高いと考えることが必要です。
マンションを売るときには不動産会社と相談して販売価格を決めることになりますが、他の部屋よりも高めの価格で売りに出した方が良いと言えるでしょう。
安めの価格で早く売るという方針を立てることもできるものの、交渉でさらに安くなってしまうリスクもあるので注意が必要です。
住む上ではデメリットも多い

なぜ最上階の部屋に住んでいたのに売ってしまうのかを考えてみると、単純に転勤や結婚などで他の地域に移らなければならなかったからという場合もあります。しかし、実際に住んでみると住みにくいと感じる部分も多かったからという理由で最上階の部屋を売ろうと考えていることもあるでしょう。
実は最上階の部屋に憧れを持つ人は多いものの、実際に生活しているとデメリットも感じられてくることがよくあります。例えば、日差しが強いと夏場は暑くなるのは確かで、冷房を全開で効かせてもなお暑いと感じるケースもあるのが実態です。
また、冬の寒さについても外気に部屋の側面だけでなく天井も接していることから寒さにも弱い部屋になっていることが少なくありません。一方、高層マンションでエレベーターが少ない、またはエレベーターの移動が遅い場合には外への出入りにも苦労してしまう可能性があります。
通勤時間帯になるといつまでもエレベーターが来なくて降りられないこともあるのです。このように地上が遠いのは最上階の大きなデメリットで、その状況が顕著になるのが災害が起こったときです。地震で崩れてしまうようなことがあると、他の階に比べて逃げ遅れるリスクが最も高くなります。
火災の場合にも同様で、最上階から速やかに逃げられるような避難路を確保してない限りは取り残されてしまう危険性が高いでしょう。このように災害が起こったときには最も命のリスクが高いのが最上階なのです。
デメリットが目立たないうちに売るのがコツ
最上階の部屋を売るときのコツはメリットが十分に目立っていて、デメリットが霞んで見えているうちに売ってしまうことです。つまり、そのマンション自体の価値が高いと世の中で認識されているうちに売ってしまえば問題がありません。
まだ新しくて魅力的な住宅設備も整っているマンションを買うなら、せっかくだから最上階にしたいと思う人は大勢います。それが古くなってみすぼらしい姿になってしまうと、安い部屋で十分という考え方になってしまい、最上階と中層階の部屋が空いていたとしたら安い方を選ぶことになるでしょう。
同じ価格だったとしたら実際に生活したときにどんなメリットやデメリットがあるかを考え、防災性や利便性を考えて中層階の方を選んでしまう可能性もあります。
マンションの設備面に問題があるときの対策
エレベーターの数が少ない、移動が遅い、あるいは最上階から速やかに逃げられる防災設備がないといった問題はマンション全体の設備的な問題です。この問題を克服できれば最上階を売るときだけでなく、他の部屋を売るときにも高値が付く可能性が高まるでしょう。
そのため、マンションの管理組合に提言して改善を求めるのは合理的な方法です。参考情報>マンション売却
エレベーターを入れ替えてスピーディーに動くものにしたり、一つだけでも増設できたりすれば最上階の快適さは飛躍的に増します。避難経路が増えるのも安心をもたらすもので、例えば最上階から二つ下の階で火災が起こったときに、その上の階の人が逃げる経路としても利用できるでしょう。
このような議論を展開して説得し、設備が整った時点で売るというのは賢い方法です。
投資物件としての売却も検討しよう
最上階の部屋を売るときには居住用ではなく投資用の物件として販売することも検討してみましょう。マンションの一部屋を買って不動産投資をするという人が増えてきている状況があるからです。その際にいかにして付加価値の高い部屋を購入するかを考えるのが定石になっていますが、その代表的な条件となっているのが高層階だという点です。
最上階のマンションともなれば高い付加価値があると考えて買ってくれる人が見つかる可能性があるでしょう。
ただ、このような売り方ができるかどうかは管理組合の規定によって異なっています。
予め規約を確認して投資用の物件として売って問題がないかを確認しておきましょう。投資用物件として売る場合には不動産会社の選び方にも工夫が必要です。居住用の物件に強い会社でも投資用の物件の販売にはあまり強くないことがよくあります。
心配なら一般媒介にしてしまって、居住用物件の販路が広い会社と、投資用物件で実績を持っている会社の二つと契約するのも合理的な方法です。投資価値があるかどうかは築年数や間取りなどによっても大きく変わります。
ただ、付加価値として最上階というのを生かせる売り方なので、前向きに検討して比較してみるのが大切です。